
アウトライナーって、シナリオライターとかそういう特殊な人が使うものじゃないの?

パワーポイントの下書きで使っている人もいるし、ブレインストーミングとして使っている人もいるよね。階層や順番を入れ替えるのが簡単だから議事録に使うのも便利らしいよ。

なるほどね、便利そうだね!(よくわからないけど)
これまで、OneNoteをログ代わりに使って来ました。なんでも貼り付けられるので、ミーティングの議事録、ファイルの添付、思いついたタスクやデイリーログなどを使っていたのですが・・・
バラバラに散らばったアイテムをフラグをもとに検索したり画像を貼り付けするとレイアウトが狂ってしまったりというちょっとしたオペレーション上のイライラが溜まっていました。
そんな際に昔ちょっと試したことがあったWorkflowy を改めて使ってみたところ、かゆいところに手が届くツールに進化していたので使ってみることにしました。
しかし、検索してもなかなか最近使っている人が少ないらしく情報が少ないので、このサービスがなくならないように紹介してユーザーを増やしたいと思っています。
WorkFlowyって?
Workflowy はアウトライナーです。アウトライナーとは、Wikiによると
アウトラインプロセッサ(outline processor)とは、コンピュータで文書のアウトライン構造(全体の構造)を定めてから、細部を編集していくために用いられる文書作成ソフトウェア。英語ではoutlinerという呼称が一般的。
ということで、すべて箇条書きで階層構造で記入するというものです。
このページの目次も、アウトラインですね。このようにタイトル、章立て、ドキュメントの構成を考えながら文章を組み立てることができるツールで、主に思考整理や文章の作成に使われています。しかし、Bullet Journalのようにこの階層構造を利用したタスク管理や日記代わりに使うこともできます。
WorkFlowyのいいところ
さて、しかしOutlinerといっても色々なツールがあります。上述の通りOneNoteでもできますし、Wordにもアウトライン機能があります。Outlinerで検索すると色々見つかります。Workflowy に似たサービスとしてはDynalistというものもあります。
また、タスク管理や情報の整理という目的だと、NotionやEvernoteなどとも機能がかぶるところがあるかもしれません。
Workflowy は上記のいろいろなサービス・アプリケーションに比べて高機能なわけではありません。それにも関わらずあえてWorkflowy を使う理由は以下の3点です。
- シンプルで美しいUI
- 操作性・軽い動作
- 汎用性
一つずつ見ていきましょう
シンプルで美しいUI
WorkFlowyの引き算の美学
Workflowy は、機能追加に慎重です。本来であれば新鮮味を保つ意味からも定期的なアップデートが必要ですが、新しい機能は1年に1つ程度しか追加されていません。
そして、数少ない機能…フォーカスとミラー、テンプレートといったものがきちんと融合して効果を発揮できるようになっています。
文章への装飾も今の所、Bold,ItalicとUnderlineしかなく、色を付けて目立たせる、という機能は存在しません(CSSを弄ることでやろうと思えばできますが)。
装飾は凝ろうと思うとそこにこだわってしまうケースが有るためあえて少なくしているのかもしれません(社内向けのパワーポイントのレイアウトにこだわって、1時間でできる資料を半日かけて作るようなこと)
※ただし、今Communityでは色付け機能をつけるかどうかで意見を募っている模様(2021年7月時点)
シンプルで美しい
残念ながら日本語のフォントは用意されていませんが、シンプルで洗練された画面。
bulletの種類も、通常 ● 下階層あり ◎ ミラー◆の3種類しかありません。色も、リンクのみブルーでそれ以外はすべて黒です。
※ご丁寧に、リンクも青ではなくグレーにするオプションがあります。
こうしたUIによって余計な事を考えずに集中できる環境になっています。
全てが同じHomeから
通常こうしたアプリケーションは、目的別に”ノートブック”を作ってその中に書いてくというのが鉄板ですが、WorkflowyはすべてHomeから一つのツリーから分岐するという思い切った構成になっています。
仕事もプライベートも分けた考えないというのは今どきの考え方ですね。
計算された高い操作性、軽い動作
キー操作ですべてをスムーズに操作できる
ショートカットキーを覚えてしまえば、自由に項目を変えたり移動したりすることができます。
軽い
動きが早くストレスが無い(PCのデスクトップ版。ブラウザ版とかだと多くなりすぎると動作が遅くなるという報告もあり)。
キーボードのショートカットだけで操作できどんどん書いていけるので、なれてくるとシンプルなUIと相まって思ったとおりに構成を変えたりすることができ、いちいち操作のために思考を中断する必要がなく、なんというか文章を操っている感が出て気分が良くなります。
汎用性
Workflowyは一見単純で機能は少ないように見えますが、カスタマイズによって、自分なりのワークフローを作ることができます。
使い方の実例のところで、これらを組み合わせて私がどのように使っているか紹介しています。
ミラーリング機能
ミラーと言う機能は、特定のトピックを別のトピックにも表示させる機能。どちらかを編集すれば、ミラーしているもう一方も同じように変更されます。
実例を出します。例えば、Aプロジェクトという神奈川で行われるプロジェクトの進捗管理をしているとしたときに、別のリストから神奈川の委託業者リストをこのプロジェクトにもミラー表示させることができます。
こうすることで、いちいちツリー間を行ったり来たりする必要がなく、Aプロジェクトを開けば関連する資料をその下のノードですぐに参照できるようになります。
また、コピーと違うのは、例えばミラーしているリストにある山田工業に連絡したところ担当者が変わったことがわかったとします。

そうした場合、よくあるのがプロジェクトファイルの方だけアップデートしてしまいマスタはそのまま、、ということがあるのですが、ミラーリンクしている場合このファイルを変えることでもとのリストも更新されるので、齟齬が発生しません。
テンプレート
テンプレートは、その名の通りノード構成をテンプレートとして登録しておき、好きなところにコピーできる機能です。
例えば報告文書等フォーマットが決まっている場合、イチから書き始めるのではなくテンプレートから挿入して空いているところを埋めていく、という使い方ができます。
適切なテンプレートというのはフレームワークと同じで、業務効率を上げるだけでなく思考のプロセスを強化することができますので是非活用したい機能です。
検索とお気に入り
Workflowy の検索は、どこからでもEscキーで遷移する事ができます。

ここから検索ワードを入れることもできるし、タグ・更新日や日付ラベルなど候補がインクリメンタルに表示されるのでカーソルキーだけで選択して追加することもできます。
さらに便利なのが、この検索条件をStarred(お気に入り)に登録しておくことができる点です。
下の例では、私の今のお気に入りに登録してあるものです。虫眼鏡のアイコンが検索条件、▲が通常のノードです。

例えば、”過去1ヶ月に作成・変更したMeetingタグの付いたもの”、で登録しておけば直近のMtgだけを呼び出すことができます。
定期的に行っているものなどは、こうしておけばいちいち検索しなくてもすぐに前回のミーティングのメモを見つけることができます。

お気に入りは左側のサイドバーに表示されるほか、Ctrl+Kでポップアップする移動先入力ダイアログにも表示されるので、そこからすぐにアクセスできます。

もちろん、検索範囲も選択できるので仕事で検索しているのにプライベートが出てきてしまうようなこともありません。
イマイチなところ
Workflowy の機能、制限は意識的なものではありますが、当然人によってフィットしない部分が出てきます。そこを容認できるかどうかというのもツールを選ぶ上でのポイントですね。
個人的に改善してほしいポイントは以下の6つです(結構あるな)
レベルごとの展開、折りたたみができない
全部開くか全部折りたたむしかできないため、第2階層まで展開して俯瞰したい、というケースが有っても一つずつ開いていく必要があります。ワークフローで使っているときはそれほど気になりませんが、込み入った文章を作っているときとかはちょっと不便です。
※(2023/1/30追記) クローズアップした状態で、Ctrl+↑または↓でできることが判明

マインドマップの自動生成ができない
私は脳のバッファが少ないので、どうしても図にしないと頭に入ってこないことがあります。
”この案件、まずどういう要素があって何から手を付けようか…”などとイチからブレストして考えるときなど、アウトラインよりマインドマップなど脳に理解しやすい形で整理したほうがいいときもあります。
ただし、個人的にはブレストは紙とペンを使うのが好きなので、まずは紙とペンである程度構成が固まってからWorkflowyに書き始めているので、今の使い方ではいらないですね。
色付けなどで視認性を向上できない
これは先程の利点での説明とは矛盾していますが…英文で書く場合は上下の間隔が比較的広くなり、単語、センテンスの視認性が高いのですが日本語はどうしても横書きにすると英文よりも見にくくなってしまいます。
そうしたデメリットも鑑みて、日本語で使用する場合はもう少し視認性を上げる機能が必要なのではないかと思います。

※(2023/1/30追記) こちらもアップデートで色がつけられるようになりました!

仕事で画面を共有したいときに一抹の不安がある
すべてを一つにまとめるのはいいのだが、画面を共有して見せることがあるので、検索や南下の表紙でプライベートな情報が表示されてしまうかもしれないのがちょっと。
特定のノードを表示させないようにする機能があったりするといいのですが・・
たまにカーソルが消えてクリックする必要がある
今一番ストレスに感じているのがこの部分です。
カーソルでノード間を移動しているときにテンプレートのボタンに差し掛かると無選択状態になってカーソルが消えてしまうため、文字のあるところでクリックする必要があります。
せっかくキーボードだけで操作できるUIなのに、そこで中断されてしまうのがちょっとストレスになっています。これはバグだと思うので直してほしい…
ちなみに、このようなWorkflowy の機能面で不満に感じたユーザーが作ったのがDynalistです。Workflowyの美学が失われている代わりにかゆいところに手が届く(装飾が豊富、カーソルの場所がハイライトする)仕様になっています。どちらがいいかはユーザーの志向次第ですがWorkflowyのポリシーがわかりにくいので単純に比較されるとDynalistの方に行ってしまうかもしれませんね…
※(2023/1/30追記)Ctrl+HomeキーまたはEndで、一番上か下にカーソルを出すことができます。
具体的な使い方
もう少し具体的なイメージを持ってもらうため、私が今デイリーのテンプレートとして運用している方法を少し簡単にして紹介します。
- まず、一日の仕事のテンプレートを作る。これはその日の作業の指針となるものです。

- 30分以内の作業に分割されたToDoリストと、各プロジェクトのチャーター(目的、スケジュールなど)が記載されたプロジェクトリストが予めミラーリングされていますので、随時開いて確認・更新することができます。
- テンプレートから新しい日次ノードを作成したら、Dailyというタイトルを日付に変更します。
- 作成したら、まずToDoとプロジェクトリストを見て今日必ず実施する3つのタスクをピックアップして記載します。
- その後はこのノードを常に開いておき、ミーティングのメモや作業したこと、日々のまとめを記載します。
- 実施したタスクや、ミーティングで更新されたプロジェクトはそれぞれここから更新しておけば、元のノードも更新されます。
- このデイリーログでミーティングのメモや作業をした際の備忘などをタグを付けておくことで、あとから日々のデイリーログをめくらなくても中の情報を検索することができます。
- 例えば、特定のプロジェクトに関する作業やミーティングをタグにしておけば、そのタグで検索することですべてのアクティビティをすぐにチェックできます。
- また、上の機能で紹介したようによく使う検索クエリをお気に入りに登録しておくことで頻繁に参照するプロジェクトや資料を一発で呼び出すことができます。
- ミーティングもテンプレートを使うことでタグの挿入漏れがなくなる
- 今の所テンプレートはあまり細かいものは入れていませんが、なにか作業をする際にテンプレートという型を工夫活用することで日々の業務効率が上がり、また判断力を消費せずに済む
- タグを活用するには忘れずにきちんとタグ付する必要があるのですが、ミーティングやタスクをする際も”ミーティングのテンプレート”や”タスクのテプンレート”を使ってそこにタグを記載するタスクをするなどしておくことで、注意しなくてもきちんとタグ付けされるように仕組み化することができます。
まとめ
どうでしょうか、なんとなくイメージが掴めたのであれば幸いです。
もちろん同じようにやる必要はありません。階層は日付ごとではなくプロジェクトごとや会議、実験など自分にとってやりやすいように構築できるのがWorkflowyのいいところです。
以前はOneNoteを4Kモニタの右端に貼り付けて常に表示するようにしておき、そこにログをすべて書いていました。
OneNoteは自由度が高く何でも貼り付けたりできる反面、例えば画像を貼り付けると大きくなってしまうのでリサイズしたり検索結果から直接編集するといった操作性の面で不満がありました。
OneNoteを好きなようにデコれる自由帳だとすると、Workflowy は、できることを制限することで目的の達成にフォーカスできるコーネルノートというように対比させることができるかもしれません。
繰り返しになりますが、Workflowyのコンセプトは物事をシンプルにすることです。色々な機能があると操作が複雑になり、またそれを使いこなすことに夢中になって肝心の目的が疎かになってしまうことがあります。
足りない機能に文句を言うのではなく、Workflowyのコンセプトに寄り添って使うことでその意図することが見えてくるかもしれません。
ということで、WorkFlowyは以下のような方におすすめです。
- 仕事の効率化が好き
- いろいろな環境でアクセスしたい
- 自分でワークフローを組み立てたい
- OneNoteやNotionなど、機能があると使わないと損した気分になって疲れてしまった人
- ミニマリスト的な見た目、ドラマに出てくるハッカーのような華麗なキー操作

ではまた!
コメント