WBS(Work Breakdown Structure)って何なん
システム部に所属していると、よくWBSというものを作ります。これはプロジェクトのタスクを構造化して遅延や抜け漏れがないようにするものです(アジャイル開発等で最近は使われなくなってきていますが・・・)。これは小さなタスクから大きなプロジェクトまで共通して使えるツールであり考え方で、その理論についてはいろいろなところで紹介されています。
ただ、WBSは初心者がいきなり作り始めてもうまく行かないことが多いです。ここでは実例を紹介しつつ、WBSを書き始めるための事前準備の仕方を紹介したいと思います。
忘年会のWBSを作ってみよう
WBSは主にプロジェクトの責任者が作成しますが、個人で行っている仕事の整理や、仕事とは関係ないレジャーなどの計画にも使用できます。ここでは、忘年会の幹事を例にとって作ってみます。

忘年会の幹事を任されたぞ。
幹事は会費も安くしてもらえるから引き受けたけど、まあ適当にやればいいかな…

全体で150人くらいになるけど、大丈夫?
余興とかちゃんと考えとかないと収集つかなくなるかも…

え・・・もちろん。
(引き受けなければよかった)
手順
単純に忘年会と言っても、内輪でやる数人のものから、事業部全体で行う100人を超えるものまで多々あります。大きいものはある意味一大プロジェクトですので、きちんと計画を立てておく必要があります。
目的を決める

漫然とやってもいいけど、目的をはっきり決めておくと迷ったときに判断しやすいよね。

忘年会に酒以外の目的とかあるの?
何かを始めるときは、何であれ目的をはっきりさせることが重要です。
慣例でやっている忘年会であっても、目的はあるはずです。それを再確認しておきましょう。
目的がはっきりすれば”席はくじでランダムに座ってもらおう”とか”今年の仕事で輝いていた人ベスト10”とか余興の方針も決めやすくなります。
- ・会社として、1年間の業務を慰労したい
- ・いい機会なので、直接業務上のやり取りが発生しない
- 人たちで会話をしてもらい、コラボレーションにつなげたい
- ・一体感を醸成してモチベーションアップにつなげたい
- ・メンバーのストレスを発散してもらいたい

コミュニケーション苦手だから、席がランダムとかマジ勘弁してほしい…
必要な項目を洗い出す
では、目標がはっきりしたところでやることを考えます。まずは、大きな括りでやらないといけないことを考えてみましょう。名詞だと曖昧になってしまうので、”会場”ではなく”会場を決める”などの動詞にしたほうが明確になります。

この項目は後からでも修正できるので”これは大きな括りになるか、細かすぎないか”…等あまり深く考えずに出していってOKです。
ブレークダウンする
大項目候補が決まったら、それぞれを達成するために何が必要か、ブレークダウンして検討します。このあたりの作業は複数名で実施したほうが抜け漏れなく洗い出せるので、予算以降は幹事グループが決まった後でも良いかもしれません。

この作業は、マインドマップを使うと整理しやすいかもしれません。また、アナログでやる場合は次のステップで項目を並べたり入れ替えたりできるように情報カードで検討すると効率的です。

余興はたくさん入れたいな!
というか俺に歌わせろ!

でもあまり入れすぎると落ち着いて食べる時間もなくなるし、、ビンゴも時間取るよね。

俺に歌わせろー!
ブレークダウンしていくうちに大きなタスクを思いついたりすることもあります。例えば余興を決めるためには時間配分を決めておく必要があり、ということは全体の構成を考えておかないといけないということがわかったりします。
その場合は、大項目を追加してそれに対してまた具体的なタスクを考えていきます。
逆に、考えている途中でタスクとしての粒度が違うな、と思ったら別のタスクのサブタスクにしたりして整えていきます。
重要なのはタスクの抜け漏れをふせぐことで、全体の構成についてはやっていくうちに慣れていくのでまずは適当でもいいと思います。

依存関係、前提条件を整理する
依存関係、前提条件を確認していきます。
大きな依存関係は逆転することもあり、例えば余興や参加人数に合わせて会場を決めるケースもあれば、先に会場が決まってしまっていてそこに合わせて色々決めていく必要があることもあります。
いずれにしても、そのタスクを行うにはこれが決まっていないといけない、というものを特定します。それぞれのタスクにかかる日数を足していくと、”この日までにはこれが終わっていないといけない”ということがはっきりします。

アンケートまだ出来てないんだけど、来週でもいい?

WBSによると、参加者が今週中に確定できなかった場合会場の選定が出来ないのと全員に配るノベルティの発注のリードタイムに間に合わないので忘年会は中止になりますね。

おお・・・おお・・・
逆に、”景品を買う”というタスクは予算だけ決まっていれば買うのはまだ後でもいいので、ではそちらは後回しにして先のこちらを終わらせましょうという判断もできるようになります。
WBSにまとめる
ここまで整理できたら、ようやくWBSに入力を開始します。
もちろん規模の小さいものや、なれてきたらいちいち書き出したりせず直接WBSを作り始めてしまっても問題ありません。しかし、過去の例のないものや重大なものは何から取りかかればいいかわからなかったり、いきなり細かいところから作り始めて途中で挫折したりしますので、まずは事前の整理をおすすめします。
WBSはExcelで十分作れますが、WBSのツールとして有名なものではMicrosoft Projectがあります。また、”ガントチャート”で検索するとフリーのツール等も色々出てきます。
※市販のツールは高機能すぎて使いにくかったりカスタマイズができなかったりするので、管理人は自作のExcelシートを使用しています(別の機会で紹介したいと思っています)。
プロジェクトがスタートしたら
タスクがはっきりしてWBSが完成したら、いよいよスタートです。スケジュールどおりに進むかというと、大体は進みません。できるだけ頻繁にWBSの進捗を確認し、遅延しているときはそれによるリスクを評価し、タスクを調整するためにWBSを活用して行きましょう。
効果
いかがでしたでしょうか。準備をしてWBSを作るということは、つまりきちんと計画を立てるということと同義だということですね。新しいことを始める際に、何から手を付けたらいいかわからないというひとは是非WBSを始めてみてください。
まとめ…WBSの効果
- ストレスが減る…やるべきことが見える化されているので、なにか漏れているものがないか、など不安になることがない
- 次回のための資料…タスクリスト、どこで遅延が発生しやすいかなど次に同じプロジェクトを実施する際の労力を大幅に削減できる
- 進捗の見える化、抜け漏れの防止
- 誰が何をするかが一目瞭然でコミュニケーションロスが減る

うまくいったね!みんな喜んでたよ

ふふふ
仕事はダンドリ9割ですよ。
チキンはタンドリーですよ

あっ?
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